’
「夢」でカンヌ映画祭に行ったとき、
黒澤さんがひとりで長椅子に座って
タバコを吸ってた。
その前を、ロマン・ポランスキーが
アロン・ドロンが、ナターシャ・キンスキーが
クリント・イースウッドが行ったり来たり。
監督に挨拶がしたいからだ。
でも尊敬しすぎて人の紹介もなしに
会えない。
’
するとクリント・イースウッドが人を介して
黒澤さんの前に。緊張で棒立ちになった
クリントが、深く頭を下げ握手を求めた。
寺尾聡は遠巻きにそのシーンを見てたら
突然「寺尾君」と監督。
慌てて立ち寄ると、「ほら、クリント君」と
寺尾聡を彼に紹介したという。
’
寺尾聡曰く、「君も世界の映画人と交流し
邦画をさらに広めるんだよ」と監督が教えてくれた
んだと思う。
’
黒澤明がいかに偉大な監督であったか、
改めて胸に刻んだ。
’
