肩書

 あなたの職業は何ですか、と聞かれたら一応は「ライター」と答える。

 だが、仕事によっては文章を書くだけでなく、誌面全体の方向性を決めることもあるから、その時は「編集者(エディター)」と名乗るべきだし、制作物全体の進行管理役である「ディレクター」としてチームに入ることもある。著書も一冊上梓しているから(売れている、いないは別にして)作家と言えなくもない。

 プロフィールを提出しなければならない時は、「編集者・ライター」と書いているが、やっている仕事の幅が広がるにつれ、しっくりこなくなってきた。

 今の自分の仕事を厳密に紹介せよと言うならば、文章を書くことを中心にした「エディトリアルディレクター」といったところだろう。
 このうち、報酬の高い仕事は、ディレクター(自分調べ)だ。編集全般を見ることのできるセンスも問われるうえ、クライアントとのやりとり、カメラマンの手配など、いろいろ面倒な調整もしないといけないから当然と言えば当然だろう。そして、仕事に対する単価が低いのはライターだ。

 でも困ったことに、自分がやりたいのはライターだ。できることなら、文章を書くことを専業とする職人として人生を全うしたい。そして、関心のあるジャンルはノンフィクション。世の中のいろんな人や事象、課題に向き合い、その事実を克明に綴っていきたい。だから、名乗りたい肩書は「ノンフィクションライター」ということになる。

 ノンフィクション作品といえるものは、一つは書き上げた。しかし、「ノンフィクションライター」をメーンの肩書として名乗るには、せめて、もうひと作品は書かないといけないだろう。
 その実現に向けて準備を始めたところである。