頁をめくる手が止まらない 「メディアの闇 安部官邸VSNHK 森友取材全真相」 相澤冬樹

こんなに興奮して読んだ
ノンフィクションは、久しぶり。
帯のコピーにこの本の面白さは要約されている。

エース記者はなぜNHKをやめたのか。
官邸からの圧力、歪められる報道
スクープの裏側を「忖度なし」に書き尽くす
なぜ放送されないんだ  加筆大幅

森友事件を追いかけ、スクープを連発していた著者が突然異動を命じられ、
相澤さんは記者として生きるために退職。
現在大阪日日新聞で今でも森友事件を追いかけている。
どんなことがあってもブレない記者魂に胸が熱くなる。

しかもこの手の作品には珍しく硬派だけではなく、
ユーモアにも溢れているので読みやすく、
わくわくさせてくれる。
なにしろ自分のことを真性右翼記者と称するぐらいだから、
面白い。

紹介したい箇所は山ほどあるが、
僕が一番感動したのは、NHKを辞め、
大阪日日新聞に記者として入社したいという著者に対して、
日日の吉岡オーナー(90歳)が答えた言葉だ。

「こういう形で言論を封殺する不条理をわしは許せない。
有為な人材をこんなことで埋もれさせてはならない。
うちの会社はどこにもしがらみがないし、どこにも遠慮はない。
相澤さん、あんたには自由に取材して真実をどしどし書いてもらいたい。
あんたはうちで面倒みる」

かっこいい。
おもわず声が出た。
ジャーナリズムはこうでなくっちゃね。

著者は言う。
森友事件とは、実は森友学園の事件ではない。
口と大阪府の事件だ。
責任があるのは、国と大阪府なのだ。
この謎を解明しないことには森本事件は
終わったことにならない。

ほんとにそうだよね。
事実は小説より奇なり、という古い文句を言いたくなるほど
スリリングで読んでいて熱くなってくる興奮の一冊。
名作です。