アマプラ 「長いお別れ」

「湯を沸かすほどの愛」の

中野量太監督がまた魅せてくれます。

認知症の父と家族の物語を、

ここまで優しく愛しく描いた映画は

ないんじゃないかな。

僕は喪主として両親を見送ったけど

介護も認知も経験しないままだ。

けれど周りの人の話を聞く限り、壮絶な

日々を家族は強いられることが多い。

だからこの話は甘すぎるし、キレイすぎる。

ファンタジーといってもいいかもしれない。

でもそこが胸を打つ。

これまで僕は映画や歌やテレビを作ってきた。

いつも願っていたのは、人間のキレイなことを

書きたいということだ。

だけど腕がないので、たいがいキレイごとになって

しまう。

生きていてよかった。

人生捨てたもんじゃない。

観客にそう思ってもらえるのは、

現実の悲惨さや醜さを描く物語より

何十倍も難しい。

監督は見事にそのハードルを越えている。

主演の山崎努さんに、スタンディングオーベション!