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大腸がんステージ3と
診断されたのは5年前だった。
有難いことになんとか
生き延びてきた。
以来、死をテーマにした本、
映画を意識して観るように
なった。
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本作は、医者と余命3カ月の患者が
旅に出るロードムービーだが、
とても丁寧に死とは何かを
語ってくれる。
エンドロールを観て、北川悦吏子さんの脚本と
知り、道理でセリフがいいわけだと納得。
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「生まれてきたから生きるんだ」
「幸せかどうかはわからないが、幸せの瞬間
ってある。時折吹く気持ちいい風みたいに」
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がんになったからといって、何一つわかった
わけじゃないけど、ひとつだけ決めた。
「折角治療してもらった命。死ぬまでは生きる」
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術後、こっそりと食べたロッテガーナチョコレートの
ひとかけら。全身が震えるほど美味しかった。
あの瞬間だけは忘れてはいけない、といつも
言い聞かせている。
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このドラマにはそんなことを思い出させてくれる
力と優しさがある。
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