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小林泰三氏が取り組む「デジタル復元」。今回その復元の過程を、
「淀殿の着物」を題材に数回にわたって紹介してみたいと思います。
着物ができるまで③~「野村染工」
生地を染めていく。
友禅染もプリントアウトの時代、伝統は新技術「染め刺繍」と融合する
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白生地作りの次の工程を見ようと向かったのは、京都市内にある染工場「野村染工」だ。
創業は1971年。
メインの商品は成人式の振袖で、オリジナルのデザインが人気だ。
今回の着物復元、染めのテーマを社長の塩田雅昭さんに伺うと、「アナログとデジタルの融合」だという。
早速現場を拝見させてもらおうと、2階に上がって驚いた。
大きなプリンターが部屋を占めている。
「これがインクジェットデジタル染色機です」
と塩田さん。
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小林商店で織った白生地をセットし、スイッチを入れると、ダダン、ダダン、と重い音とともに生地が引きこまれ、見る見るうちに鮮やかな色に染められていく。
それはまったく予想すらしていない光景だった。
復元した安土桃山時代の色が、デジタルの力によって蘇っていくことに深い感動を覚えた。
野村染工はこの染色機を京都でいち早く導入した。
当初は着物文化にはそぐわないと首をかしげる同業者もいたが、染匠たちの高齢化や技術の継承者の人出不足などを考慮し、染色機を導入する会社も増えていったという。
「でもね、プリントアウトして終わりじゃないんです。ここからがうちの腕の見せ所なんですよ。どうぞ3階へ」
![](https://static.camp-fire.jp/uploads/editor_uploaded_image/image/1493382/2bbd8df52d9e8344f3f576c509c45f40.jpg)
![](https://static.camp-fire.jp/uploads/editor_uploaded_image/image/1493389/23df6f81b2445165562d659a28a3efdc.jpg)
塩田さんに案内され階段を上がると、そこには職人さんたちがずらりと並び、染め上った着物を前に作業をしていた。
近くで見ると、柄に添い、微妙に光沢の違う金箔や銀箔を使い分け、着物に加工を施していた。加工前でも十分に鮮やかだった着物がより一層輝きを増し、優美な姿に変わっていった。
最新のデジタル技術と伝統に培われた匠の技が融合した、新しい京友禅の世界がそこに広がっていた。
淀殿の着物復元について尋ねると、
「面白い試みだと思います。こういった企画はなかなかないことだし、私たちも楽しく参加させてもらってます。『染め刺繍』(※)というネーミングまで考えたので(笑)、ぜひブランド化していって欲しいですね」
という答えが返ってきた。
CG復元と新しい染工場との幸運な出会い。
幻の着物完成まで、もうすぐだ。
![](https://writing-pro.net/wp-content/uploads/2021/04/刺繍.jpg)
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※染め刺繍…デジタル復元によってよみがえった刺繍模様をデジタルプリントすると、実際の刺繍のように立体感のある視覚効果が得られる。その効果を最大限に生かした染め着物の新しいブランド
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