「私と若冲」②~やはりあのモザイク絵に魅了され

静岡県立美術館所蔵「鳥獣花木図屏風」

小林先生の授業で、
スクリーンに映し出された「鳥獣花木図屏風」を見たときは、
度肝を抜かれた。
まさしく「なんじゃ、これは?」という感想だった。

数々の動物たちが、細かくモザイク状のマス目で構成されている。
若冲が、どんな気持ちで、どんな求めに応じて
このような作品を仕上げたのか、皆目見当がつかない。
しかし、なぜか惹かれてしまう、そんな不思議な絵である。

この執拗なまでの永久に続くかとも思える、ひとつひとつのマス目。
静岡県立美術館の公式サイトでは、
11万6千以上ものマス目があるというから、ちょっと、病的でさえある。
そう、ちょっと「一線を越えてしまっている」感があるのが、
私が若冲に抱くイメージだ。

ジョー・プライス氏が所蔵している、
色鮮やかな「鳥獣花木図屏風」が有名だが、
ちょっと色は褪せている、控えめなもう一つの「鳥獣花木図屏風」が
静岡県立美術館に所蔵されている。
つまりは、23万以上のマス目を、若冲は描き切ったのだ。

若冲の派手さは、色彩が鮮やかであることはもちろん挙げられるが、
この表現の奇抜さや「一線超えてしまっている」感が、
派手さに拍車をかけている。

だから、若冲の派手さは、普通の派手さとは違うのだ。
金銀を多く使えばいい、
という派手さとは異なっているのだ。(つづく)