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かつて競輪選手を主役にした
「ガチ星」(江口カン監督)と
ことがある。
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その時に、ギャンブルする側、
どうしようもないおっさんの視点で描く物語も
面白いと思った。
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本作はまさしくそんなドキュメンタリーだ。
わずか40分の作品だが、これが密度が濃く
面白い。
競輪場近くにある角打ちが映画の主な舞台。
そこで酔っぱらったオッサンたちの会話、
ときに哲学的なやりとりに大笑いした。
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一番印象に残ったのは、スポーツ新聞を見ながら
ぼそっつ呟く店主の一言から始まるシーン
「……生きるってのは大変だよな」
カウンターにはひとりの客。彼が返す。
「でも死ぬのも大変だよ。金かかるし。
おれは子どもがいないからいいけど、子どもが
いる人は迷惑かけられないしな」
「そうだな」
「インドはいいな、あのなんとか川」
「ガンジス」
「そうそう、そこに流せばいんだから。あ、あれも
いいよな。山で鳥に食われるやつ」
「アンデス?」
「ああ、なんかわからんけど、あれも金かからんし。
日本はめちゃくちゃかかるやろ。滅多に死ねんよ」
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監督を調べるとスイスで生まれ育った日本人女性、
水野さやかさん。大学の卒業映画制作で作った
そうだが、いやー脱帽。
つくづく思った。
劇映画作らなくって良かった。
予告編をどうぞ
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