横浜流星、いいっす! 「春に散る」

ボクシングをテーマにした映画は、

どうしても既視感のある物語に

なりがちだ。

数々の名作があるから、どこかで

観た場面が出てくるのはしょうがない。

でもこの映画は、長年ボクシングと関わってきた

沢木耕太郎の原作だけあって、一味違う。

佐藤浩市を始めとする、三人のおっさん、

片岡鶴太郎、哀川翔をコーチ役にしたのも、

新味を加えた。

そして何しろ、主演二人、佐藤浩市はもちろんだが、

横浜流星がいい!

どうしようもない現実を、拳ひとつで変えようとする

若者の焦燥、苛立ちが、がんがん伝わってくる

面構えと肉体だ。

対する窪田正孝も、さすがプロのライセンスを取った

だけあって、殴り合う場面はとてもリアル。

片岡鶴太郎の芝居も初めて、いいと思った。

ボクシング、やっぱり、映画に向いてるなぁ。