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伊藤若冲の本当の凄さを知っていますか?
それは、「静謐の中の狂気」だと言えるかもしれません。
私がこの「花丸図」を復元したいのは、
それが一番分かる作品になると確信するからです。
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確かに伊藤若冲の凄さは「動植綵絵」「鳥獣花木図屏風」のように、
常軌を逸した細密さの中にある、と言えるでしょう。
それは見れば分かる、若冲独特の「一線を超えてしまった表現」です。
「一線を超えてしまった表現」は文字通り、見た目が肝心。
その迫力に圧倒され、いわば見る人の思考は停止してしまいます。
そうなると、伊藤若冲の狂気は、その緻密な表現の裏に隠れてしまうのです。
そこで、花丸図です。
通常の花丸図をご覧ください。
これは、完成して間もない、妙心寺大雄院の安川如風による花丸図です。
これが由緒正しい、花丸図。
文字通り花は丸く装飾され、空間を生かして品よく配置され、実に優雅です。
しかし、そんな雅で優しい表現を、若冲が、
若冲の世の中にくさびを打ちたい狂気が、許すわけがありません。
若冲の花丸図は、
まず第一に、花丸図と言いながら、丸くない。
第二に、品のいい配置なんで一切無視。
そして第三に、虫食いや枯れた部分も隠さない描写…。
これが、いかに破壊的な花丸図なのかが、お分かりいただけるかと思います。
(小さいですが、想像図をご覧ください)
本当であれば、
見る者の心を安心させ、雅な雰囲気を醸し出すはずの花丸図が、
見る者を威圧するように描かれている。
(しかも獣や猛禽ではなく、植物で!)
いや、若冲の狂気が見る者の心象に強く訴えかけ、
そうさせてしまっているのです。
なのに現状は、背景が金色になっています。
これでは、意味が全く変わってしまうのです。
もともと金碧障壁画(金が背景の襖絵)は、
屋敷の玄関に近いところに飾られることが多く、
主人の威厳を示したり、
敵かもしれない客人を威圧する意味が込められていました。
そして、奥に向かって主人のプライベートな空間になっていくにしたがって、
背景が白になったり、さらに水墨画のような
モノトーンの落ち着いた世界になっていくのです。
なので、金比羅宮の奥書院であるこの襖絵は、
”奥”とついているからには背景は白であることが相応しい。
なのに、若冲の破壊的な花丸図によって、リラックスするどころか、
決して居心地のいい空間になっていないところが面白いのであり、
若冲の狂気を、背景が白になっていることによって
はじめて肌で体感できるのです。
本当の若冲の花丸図の姿。
そして、にじみ出てくる若冲の狂気…。
他では味わえない、しかも復元しないと味わえない、
この異次元の空間をいっしょに体験してみませんか?
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