いい男ねー。「土を喰らう十二ヵ月」

水上勉の原作を、僕が日本映画

の中でベスト10に入る

「ナヴィの恋」の中江裕司監督が

撮ったんだから、間違いない。

長野の山荘、一人暮らしの作家が

原稿を書き、山と畑に出て四季折々の

食材を取り、ご飯を作る、ただそれだけを

淡々と撮った映画。

でもこれがいいんだなぁ。

僕が一番印象に残ったのは、主役の

沢田研二さんの手。

太くてごつごつしてて、男っぽい。

イメージでは繊細で細い指という

感じだったけど、全然違った。

きっともともとそういう方なんでしょうね。

中江監督が60代で色っぽい人をと

思って沢田さんをすぐに思い浮かべ

会うことに。

すると開口一番、沢田さんが

「監督、僕をオーディションしてください」

監督は自分がオーディションされるのでは

ないかと思ってたらしく、びっくり。

「どうしてですか」と尋ねたところ、

「僕は昔の沢田研二とは全然違います。

これでいいと自分では思ってますが、

監督はほんとうに僕でいいんですか」

とおっしゃったそうです。

……かっこいいよねー。

同様、映画の沢田さんも素敵でした。

料理を作る手つきも上手で、多分普段きちんと

生活してる人なんだろうなと察しました。

恋人で編集者役の松たか子が料理を作る

沢田さんを見て、

「いい男ねー」

すると、彼が「せやろ」

こんな台詞が似合う男、沢田研二さんしかいません。