思い出すのは……「黒田征太郎展」

テレビ番組で取材後、朝まで

黒田さんと飲んだ。

深夜3時頃だったと思う。

親父の絵(入院患者を揶揄した

似顔絵一覧)を見せたとき、

黒田さんが気に入り「一緒にお父さんと

展覧会をやりたい」と、その場で

スケッチブックに手紙を書いた。

のぼるさま。
黒田征太郎といいます。
描くことしか出来ないです。そして
七十年です。
飲んだりもします。
エエこともアカンことも
ありました。が
まだちょっとだけ
やろうかと思っています。
いま、ムスコさんと会っていて
のぼるさんの話しをしています。
一度いっしょになにか
しませんか?

黒田征太郎拝

数日後親父に渡すと、「黒田征太郎って誰や」

結局二人の展覧会は実現しなかったが、

子どもみたいな黒田さんの反応と手紙には

「スゴイ人だなー」と感動した。

絵も描いてもらった。

そんな黒田さんの展覧会へ。

650点近い作品の中で、僕が一番

惹かれたのは、アートディレクター長友さんと

作ったシルクスクリーン。

黒田さんの遊び心と、長友さんの美しいデザインが

見事なハーモニーを奏でて、40数年たった今でも

新鮮でインパクトがある。

これは自慢だけど、以前僕が構成を担当した

博多の藤堂ママの自伝「中州三大ママ稼業」と

いう本の最後のページに、

挿絵   黒田征太郎

デザイン 長友啓典

構成   高坂圭    

と並んだことがある。

僕は思わず「やったー、K3だ!」と叫んだ。

展覧会は11月9日まで。

北九州美術館。

どうぞ皆さん、少年のようにずっと描き続ける

画家のパワーを浴びてください。