「ここほれ!アーティスト」始まります!

ライティングプロのスタッフが〝面白い!〟と思った
アーティストを紹介する「ここほれ!アーティスト」の連載が始まります。

記念すべき第一回は、デジタル復元師・小林泰三さんです。

同時代に生きていて、僕が天才だと思った人物。
その人こそが、今回ご紹介する小林さんです。

彼はこれまで狩野永徳、俵屋宗達、高松塚古墳壁画など様々な日本美術を、
当時の色や図案などを徹底したリサーチのもと、
確かなデジタル技術で復元していくアーティストです。

僕が小林泰三さんを「見つけた」のは、
彼の処女作「日本の国宝、最初はこんな色だった」(光文社新書)を
本屋で手に取ったときです。

僕はかつてより、日本人というのは、
とくに庶民は昔からもっと自由でおおらかで
華やかなものが好きな民族ではないかと思っていました。
決して「わびさび」に代表されるような渋い美意識ではないはずだと。

その思いを小林さんは、金ぴかの仏像、
派手な色合いに満ちた東大寺大仏殿などの復元作品で証明してくれました。

しかもその著書の中で、

「私がこだわっているのは、何が描かれていたかではなく、
何が見えてくるかである」


と述べています。

小林さんは復元作品を通して、当時の日本人が何かを考えていたのか、
どんな美意識を持っていたのかをわかりやすい言葉で伝えてくれるのです。

「天才」だ、と僕は本を読み終えて心が震えました。
すぐに筆者に連絡を取り、小林氏の講演会を地元福岡で企画したのが、
今から13年前です。以降、毎年彼の会を開いてきました。

講演会に勝るとも劣らない連載になると思います。
ぜひ、ご期待ください!