これは、名著だなぁ。

「NHKラジオ深夜便 絶望名言」

         頭木弘樹  川野一宇

いやー、面白い企画です。

絶望名言とは著者曰く、

悲しい時に悲しい歌を聞きたくなるように、

辛い時には絶望的な言葉が心にしみて、

逆に救いになることがある。

そういう言葉のことを「絶望名言」と

呼ばせてもらう。

というわけで、この本には。

カフカ、ドストエフスキー、ゲーテ、

中島敦、太宰治、シェークスピアなど、

文豪たちの絶望的な言葉が紹介されている。

命名したの頭木さんの解説が添えられているんだが、

これがまた秀逸。

たとえば、カフカの「絶望名言」

将来に向かって歩くことは

ぼくにはできません。

将来に向かってつまずくこと、

これはできます。

いちばんうまくできるのは、

倒れたままでいることです。

のことに関して、頭木(かしわぎ)さんは、

「この言葉を読んだとき、僕は難病で病院の

ベッドで倒れたままだったわけです。

ですから、すごく響きました。

苦労は人を成長させる面もありますけど、

人をダメにしたり歪めたりする面もあります。

でもやっぱり、それでも生きていくしかない

わけですよね。

じゃあ、前を向いて歩いて行くのかというと、

そうではなくて、ぼくは倒れたままの状態から

ある程度立ち上がりましたけど、まだ半分

倒れてままなんですよね。

だから、まだ絶望の名言は手放せないんですよ。

うーん、わかりますよねー。

こんな感じでかゆいところに手が届く

解説が目からウロコで気持ちいいのです。

明けない夜もある、と一度でも思ったことの

ある方には、おすすめです。