のぶと歩んだ生涯」 伊多波碧
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雑誌があった。
発行元はサンリオで編集長は、やなせたかし。
一般公募で選ばれた詩に、プロの画家たちが
絵を描く。美しい雑誌だった。
20歳のときに僕は投稿し、選ばれた。
以来、ずっと詩を書いている。
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本作はやなせたかしの生涯を小説化したものだ。
これが原作ということではないらしいが
今月の31日から始まるNHKの朝ドラ
「あんぱん」は彼と奥さん、のぶの人生を描いた
もの。
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才能がないとずっと言い続け、マンガ家として二流で
ある自分にコンプレックスを感じていた。
けれど50代のときに描いた絵本、「アンパンマン」が
紆余曲折の末、69歳でアニメが始まり、人生で
初めての大ブレイクを果たす。
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「アンパンマン」、「ドキンちゃん」のモデルは誰か、
そこには戦争という悲劇が横たわっていたことも
この小説で初めて知った。
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継続は、いや継続しか力にならない。
やなせたかしと奥様のぶさんの人生は
まざまざとそのことを教えてくれる。
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