2025春の朝ドラ 「やなせたかしの素顔

のぶと歩んだ生涯」   伊多波碧

かつて「詩とメルヘン」という

雑誌があった。

発行元はサンリオで編集長は、やなせたかし。

一般公募で選ばれた詩に、プロの画家たちが

絵を描く。美しい雑誌だった。

20歳のときに僕は投稿し、選ばれた。

以来、ずっと詩を書いている。

本作はやなせたかしの生涯を小説化したものだ。

これが原作ということではないらしいが

今月の31日から始まるNHKの朝ドラ

「あんぱん」は彼と奥さん、のぶの人生を描いた

もの。

才能がないとずっと言い続け、マンガ家として二流で

ある自分にコンプレックスを感じていた。

けれど50代のときに描いた絵本、「アンパンマン」が

紆余曲折の末、69歳でアニメが始まり、人生で

初めての大ブレイクを果たす。

「アンパンマン」、「ドキンちゃん」のモデルは誰か、

そこには戦争という悲劇が横たわっていたことも

この小説で初めて知った。

継続は、いや継続しか力にならない。

やなせたかしと奥様のぶさんの人生は

まざまざとそのことを教えてくれる。