相変わらずの名調子! 「覚えていない」 佐野洋子

ほんとに佐野洋子は面白い。

読んでいて痛快。

本文、ひきまーす。

マッカーサーが日本人は十二歳だと言ったのは

嘘じゃない。今だって日本人の男は十二歳の

子供である。

ほとんど全てを、女にしりぬぐいをさせている。

その上威張っている。ハハハ可愛いもんさと

思わないでもないが、思っちゃったら女は皆

観音菩薩になってしまう。

母ちゃんもええかげんにせい。

だいたい日本の女は自分の産んだ男の子に

インランなのである。

私はうすうす気がついていたのだけれど、

いやかなりはっきり確信があるのだけれど、

男と女を比べると男の方が何百倍もいい人達である。

(略)私は弱い女というのを知らない。

見たところはかなげで、あやうげで、たよりなさげな

女だって、いやそういう女たちこそ、したたかで、

根っこのところが実に強い。

強いというか悪い。

学生時代、「結婚したい。すごく結婚したい」と

言ってた友達がいた。

「あんた、結婚して何が一番したいの」

結婚するであろう相手も恋人もいない時であった。

友達は勢い込んで確信に満ちて答えた。

「朝ね、クロワッサンとコーヒーとかきれいな

お皿やカップに入れ、お盆にお花を一輪のせたいの」

私は驚いた。そういう事が結婚なのか。

……このエッセイまだ続きます。この彼女は結婚し、

イメージ通り毎日花を飾り大きな家に住み、

夫と娘たちを待った。

娘はグレたが、元に戻った。

最近の彼女の口癖は、と著者は記す。

「うちお金が無いの、本当に無いの」

その家は花であふれ返っているのである。

現実を生きる人としては、「花から捨てろ」と

思うが、花は家のイメージの一番大事なもの

らしいのである。

そしてイメージに生きる事は現実よりもずっと

したたかに強いのである。

現実を直視する事は、現実に敗れる事でもある。

しかしイメージは死なない。

イメージの前に現実や真実はふみつぶせば

いいのである。

……ってすごい文章だなぁ。

そういえばおれも、64年間ずっとイメージだけで

生きてるなぁ。

‎シソ、アマランサス、‎、「‎佐 野 洋 @ 子 ม 。 촌 د 覚 え い な い 新潟文庫‎」というテキスト‎‎の画像のようです

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1安井 廣由