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我が街、中央町に勝彦、という酒場がありました。
元寿司職人の店主が作る肴が
美味すぎて、僕は初回から
3日間通いました。
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「毎日来られると、うっとおしいんよねー」
耳を疑いました。
いままでの僕の常識にない
言葉だったからです。
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後年わかりました。
そんなに毎日来られたら、出すもんがないから。
不器用な職人の、心の叫びだったと
僕が気づくのは、それから3年後でした。
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僕は勝彦に行くために
店の側に引っ越しました。
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あれから30余年。
明日は彼の命日です。
勝彦、たくさんのおいしい
時間、ありがとう。
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