谷津矢車
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滝廉太郎の名や代表曲である
「荒城の月」「箱根八里」、
もちろん知っているが、
彼の人と成り、生涯となると
自信がない。
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本作は丁寧に滝廉太郎の人生を
明朗な文章と物語で教えてくれる。
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バイオリンを経て、ピアニストを
目指していたこと。
自分の才能よりも、他人の能力に感動し
きちんと敬う誠実さ、謙虚さ、
そして何より音楽に真摯に向き合う
純粋さに満ちた人であったことに
驚く。
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ピアニストよりも作曲家を選んだのも、
明治の日本に西洋音楽を広めたい、普通の人にも
この魅力をわかって欲しい、からだ。
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音楽は金持ちの余技と非難する男に、
廉太郎は考える。
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本当にそうだろうか。音楽は、御大尽と貧乏な
人々を分け隔ててしまうものなのだろうか。
今、確かに音楽はシャンデリアのぶら下がった
大きなホールで演奏されるものだが、
それはまだ普及していないからで、もっと
音楽が身近になればー。
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残念ながら廉太郎は結核になり23歳でその生涯を
閉じる。
血を吐きながら、彼は作曲を死ぬ間際まで続ける。
そのシーンは、涙なしでは読めないが、
僕は心の中で何度も呟いた。
「君の歌は、音楽は今でも残っている。愛されている。
だから君は今も生きている」
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滝廉太郎、まぎれもなく音楽の神様に選ばれた
人だ。
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