うーん。 「福田村事件」

日本で最も信用している

ジャーナリストのひとりが

森達也氏だ。

だからこれまでの作品は

すべて見てきたし、読んできた。

本作は、彼が初めて作った劇映画。

取り上げたのは、関東大震災直後に

実際に起こった虐殺事件だ。

心無いデマでたくさんの朝鮮人が

殺されたことは歴史に残っているが、

この事件は、朝鮮人と間違えて同じ

日本人を虐殺した、千葉県福田村で起こった。

40分に及ぶ虐殺シーンは人間の愚かさ、

同調圧力の怖さ、群集心理の酷さを

嫌というほど、教えてくれる。

善人でも人は殺せるのだ。

歴史の闇に隠されていたこの事件を知らしめた

だけでも、この映画の価値は十分にあると思う。

だけど、うーん。

劇としては前半の村の人間関係の話は長いし、

台詞も役者の演技もこなれていないものが多く、

むかーしの新派の芝居を観てるようだった。

まぁ、子どもの頃最初に観た映画が「小林多喜二」

という環境に生まれた僕は、タッチが似てて

懐かしかったけど。

森さん、二本目、期待してます。