中国版「東京物語」?

「フェアウェル」

人には誰しもそれぞれの体内時計が

あると思う。

そのリズムに合う、小説なら文体、

音楽ならテンポ、

映画でいえば、カット割りに出会ったら

心地よく好きになってしまう。

でも少し、例えば半拍ずれたり、自分が

来ると思わないところでカットが入ったりすると

半ばガクッとなりながらも、新鮮だったりもする。

僕にとってこの映画はそんな作品でした。

余命三ヵ月となった祖母に、家族たちはガンで

あることを隠すとこから始まる、ファミリー映画だが、

音楽の入り方、カット割りのリズムがことこどぐ

僕の体内時計とずれる。

でもそれが妙に心地よい。

なんだろう、この感じと考えながら映画館を出て

わかった。

あ、小津の映画を最初に見た時とおんなじだと。

あの映画を人はよく、「日本人の美しさを描いている」と

いうけど、あの繰り返しの会話術や、整いすぎた室内と

調度品を見て、僕は「外国人が想像する日本」みたいと

思ったのだ。

原節子さんも含め、主要な登場人物はみんな

彫りが深くてバタ臭いしね。

今では小津作品はすべてDVDを買うほどのファンだけど

最初は、妙な違和感を覚えた。

この作品は、だから僕にとって、中国版小津映画なのだ。

しかし音楽の使い方がうまいなぁと思って

監督のプロフィールを観たら、元々プロの

クラシックピアニストだったそうな。

なるほど、と深く納得。

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