ライフワーク

「ライフワーク」という言葉がある。
辞書を引くと「一生かけてする仕事や研究。一生の事業。その人の代表作」(旺文社国語辞典第八版)とある。

「私のライフワークは〇〇です」と言える人は、勝手な推測だが、充実した人生が送れているように思う。だから、自分でもライフワークと言えるものを持ちたいと思ってきた。

僕のライフワークは二つある。

一つは福岡県の高校野球史をまとめて、出版すること。
往年の選手たちにもインタビューをしていきたいと思っているため、気の遠くなるような作業になるだろうが、これは必ず成し遂げるつもりだ。

そしてもう一つが「いろんな人が歩んできた人生を、その人に代わってまとめる」という仕事。それを今回、「自分誌」というサービス名でスタートさせた。

政治家や創業社長、プロスポーツ選手など、何か大きな事を成し遂げた人の人生は、多くの人に貴重な教訓や生きる勇気を与えてくれる。

しかし、市井につつがなく暮らす人にも、それぞれの人生がある。
世間的には無名であっても、その生き方に共感することも多い。

そして何より、自分も50歳を前にして親や祖父母がどう生きてきたかを知ることは、とても大切なことだと思うようになってきた。

祖母が亡くなった時に感じた「もっと昔の話を聞いておくべきだった」という後悔は、今も胸に残る。

ただ、直接話を聞く、話をするのは面映ゆいという人も多いだろう。
そこで、我々が間に入って両者をとりもつのだ。
きっと、多くの人に必要とされるサービスになると、確信している。

ノンフィクション作家・澤地久枝は、その著書『ぬくもりのある旅』で、こう述べている。

「…歴史に人間を書きのこす仕事は、もっと身近なところで、そして急いではじめられるべきことであるとわたしは思う」

1978年に書かれたものだが、「我が意を得たり」と膝を叩いた僕は、迷うことなくこの仕事を進めていきたいと考えている。

まずは福岡、九州でスタートさせる。1年に10人書いたとしても、30年で300人…。
急がないといけない。