一気読み「ボダ子」 赤松利市

すごい小説家がまた現れた。

62歳でデビューした筆者の4作目らしいが、僕は初めて。

35歳で起業し年商十億円を超える会社の社長、大西浩平と境界性人格障害(ボーダー)を持ち自傷行為を繰り返す娘の物語。

本の惹句が、「二、三日のトラウマ覚悟でお読みください」というだけあって、なかなかに濃厚、濃密なドラマ。

例えていうなら、中上健次や車谷長吉の文体で企業や被災地の闇というブラックなストーリーが展開されていくという感じかなぁ。

人間が切羽詰まったときにどんなことを思うのか、どんな風に人は動いてしまうのか、が克明に描かれてて、息苦しくなってきます。

そのリアリティは半端じゃない。実社会の表も裏も知り尽くした63歳だからこそ書けた、文字通り作者が魂で綴った小説。

赤松利市。

これから本屋でこの名前を見たら、真っ先に買おう。