名作発見!「神さまを待っている」 畑野智美

文庫の帯コピー、「勉強もした。就活もした。真面目に働いた。でもわたしはホームレスになった。貧困女子を描く傑作長編」に惹かれて読み始めたが、派遣切りにあった26歳の女性が、どんどんと貧しくなっていく描写、物語のリアルさに胸が苦しくなり、なんとかハッピーエンドにして欲しと願いつつ、一気に読了。

僕はいつも「湯上りのように」生きていきたいと思ってきた。なるべく軽やかに、いい風に吹かれていたいと。

だから辛くなりそうなことは避けてきた。

重い責任もとりたくないので、家族も作らずにきた。

そんないい加減な僕でも、この小説には胸を打たれた。

忘れられない行がある。

「貧困というのは、お金がないことではない。頼れる人がいないことだ。わたしには頼れる家族がいない」

「性的な虐待や犯罪の被害に遭った人の中には性に奔放になる人がいる。それは感覚を麻痺させて、自分のされたことは大したことではないと思うためだ。彼女は、身体を売るのをやめれば、感覚の麻痺がなくなり、自分のしてきたことに気づく。そしたら、死にたいほどの苦しみを訴えるかもしれない」

畑野智美、追いかけたい作家がまた一人増えた。