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井上昭監督のドキュメントを観た(93歳)。
溝口健二の助監督を経て、市川雷蔵、勝新太郎たちとともに、映画を作りテレビを手がけてきた人で、作品は200以上。
今回最後の映画ということで選んだのは藤沢周平原作の「殺すな」。井上さんは言う。
「形じゃない。カメラは人の心を映すもの。テクニックなんかどうでもいいんや。僕はそれを溝口さんに教えてもらった」
「いつもやっぱり不十分ですよね。作るっちゅうのは、大体そういうもんよね」
「すべては愛だと思いますよ。人間は愛を取ったら何にも残らんやないの」
スタッフ、キャストのすべてが井上さんの愛あふれる物語を撮るために一丸となり、それが叶うことが何よりの喜びとする。
観ていたら、映画を作るあの楽しさが、だんだんと蘇ってきた。大変な作業だから、二度とやるまいと思ってたのに(笑)。
実はある作家さんから映画化権をいただいていて、5,6年少し離れたところに置いていたんです。だって映画作り始めると、冗談抜きに命削れるからね。
でもやろうかな。
93歳で最後の作品を作り、亡くなった井上昭監督に負けられないもの。