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子どもの頃から本は必需品だった。
本屋はワンダーランド。
海外に行っても必ず書店巡りをした。
作家、編集者、店員さん、
本を作る人、売る人の物語も相当読んできた。
けれど、本を造る、印刷所の話は初めてだった。
この小説は「印刷会社はメーカー」だという矜持を胸に、いくたびのトラブルに見舞われながらも、営業を続ける主人公、浦本と本造りにかかわる人たちの物語だ。
書店員、森田和代が言う。
「昔は黙っていても本が売れたんですけどね、今はそうはいきません。でも、一矢報いたい」
一矢報いる。
その言葉が浦本の胸に刺さった。
「そのために私の立場でやれることは、素晴らしいと思った本を一冊でも多く売り場から読者の手へ送り出すことです」
「見習いたいです。私の立場でやれることはよりよい本を造ることです」
浦本は「本を造ること」と言い切った。
森田は何も言わず頷いた。
「なんだか浦本さんとお話をしていると、当たり前ですが印刷する方や製本する方もいるんだあって実感します」
本を書く人、作る人、配本する人、そして売る人がいる。
普段は関わり合いがなくても、浦本と森田の仕事は一本の道で繋がっている。
そう、実感し、また心強く思えた。………
こんな文章読んだら、本好きはたまりません。
胸が熱くなって涙が滲みます。
タイトルは、本の最終ページに載っている奥付のこと。
読み終わって、初めて奥付を意識して見ました。
作品の最後にとてもオシャレな演出も魅せてくれます。
出来れば、読み終わってから見て欲しいな。