–
数ある筒美京平本の中で、ダントツ。日本で多分一番最初に、筒美京平の凄さを広めたのは近田さんだと思う。
そんな彼が京平ワールドについて語った本作は、実弟の音楽プロデューサー、渡辺忠孝、盟友の作詞家、橋本淳、唯一歌手で深い親交のあった平山みきさんなどのインタビューも交えた、唯一無比の作品。
なかでも、秀逸なのはこの分析。
「あの人の基本は、心地よいメロディーとそれをより美しくする和声だった。京平さんは、生涯にわたって、アメリカで成功したいというような意識を持たなかった人だよね。国内のリスナーを相手に、洋楽的なテイストを日本の流行歌にアダプトさせる作業に終始した。その方法論は、今の日本の若い書き手にも引き継がれてるんじゃないかな。彼らからは、海外のマーケットで成果を収めたいという野望は感じられない」
また著者は、先生の作品の元ネタをずっと考え、研究している。それによると、
南沙織「17才」 リン・アンダーソン「ローズ・ガーデン」(これはさすがに僕も知ってます)
松本伊代「センチメンタル・ジャーニー」
ギルバード・オサリバン「アローン・アゲイン」(これは全く気が付かなかったが、言われてみれば)
近藤真彦「ギンギラギンにさりげなく」
クィンシー・ジョーンズ「愛のコリーダ」(著者の独断らしいが、聞き比べてみたけどうーん。もしそうなら、先生の換骨奪胎の手法はやっぱりすごいですね)
–