–
断崖絶壁の道を普段着で軽やかに歩き、「半分は私、半分は蜂に戻す」とまるで祈りの言葉のように呟き、蜂蜜を取る女性。
そのファーストシーンでわしづかみにされた。僕もこれまで何本か、ドキュメンタリー番組を作ってきたから、わかりますが、これは奇跡のような映画。
カメラの存在などまるでないように自然に日常を暮らす養蜂家を始め、登場人物たちの会話は、あり得ないほどナチュラルで制作側がどれだけ信頼を得ているのか、彼女たちの生活に溶け込んでいるのかがよくわかります。
主人公の養蜂家の女性がまた素敵なんです。
電気もガスもないとんでもない田舎家に寝たきりの母との二人暮らし。慎ましやかに、自然と寄り添うように生きている。
その姿勢の素晴らしさと孤独感に満ちた哀しさ。胸を打ちます。
何度もいいます。
このドキュメンタリーは奇跡です。
ぜひたくさんの人に観て欲しいなぁ。
–
–