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四度目の読了。
寅さんファンの僕は、渥美さんに関する本は、ほとんど読んでるが、ベストはこれ。
渥美さんに対する愛情と、渥美さんと親しくしていた著者(寅さんの舎弟、登役)でしか知らない驚くべきエピソードや真実が描かれている。
とくに山田洋次監督への距離感や小林信彦氏への感想なども他の人では書けないだろう。
ひとつだけ僕の好きなエピソードを。
俳優座の養成所に通い、新劇を勉強していた著者が初めて渥美さんと共演したドラマのときだった(「泣いてたまるか」)
渥美さんとの絡みが自分のせいでうまくいかない。落ち込んでいた現場で、渥美さんは著者の後ろに立ち、不思議な高い声で鼻歌を歌うように言った。
「♪……テキドノォ~センストーオ、リカイリョクヲ~、モッテェ~、ナガレルヨウニィ~、ナガレルヨウニィ~」
渥美さんは本質的にとても二枚目の人だったというが、ほんとかっこいいですよね。不世出の喜劇役者、渥美清をもっと知りたい方は、ぜひこの本を。
芸人本としても、後世に残したい一冊です。
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