「歌うように伝えたい
人生を中断した私の再生と希望」
塩見三省
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2014年。命は取り留めたが
半身不随となり、7年間懸命にリハビリを
続け、不自由な体のままではあるが、
俳優として復帰を果たす。
本作は、その道のりを綴った書き下ろし。
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Ipadに右手の人差し指一本で打ち込みながら
書いたこのエッセイは、出来上がるまでに
二年かかったそうだが、
「我が身に起きたことを、困難な状況にある
誰かに伝えたい」と書き続けた。
その想いは硬質で真面目な文章から、胸を
しめつけられるほど、香ってくる。
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「絶え間のないこの肉体的な痺れと苦痛が、
私の生きていく気力と精神力をじわじわと
萎えさせる」状況でありながら、北野武監督は
「アウトレイジ最終章」で彼を起用する。
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胸が熱くなる著者、でも出たとしてもすぐに殺される
だろうと思う。
しかし渡された台本は、30シーンを越える
出番数。驚き。
必死に歩きと発声のリハビリを行う。
そして北野監督に会う。
ここからのシーンがいい。
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そして6月、東宝撮影所にて衣裳合わせ。
ただこの身体を北野監督に見てもらおうと
いう私の勝手な思いのまま杖をつき部屋に入った。
4年ぶりに目を合わせる所まで来た。
「こんな身体になりました……」
しかし監督は何も聞こえなかったように
平然としていた。
「うん……。それじゃシオミさん、ヨロシクね」
何も聞かれないのである。鳥肌が立った……。
私は黙って礼をして踵を返し、足を引きずりながらも
何故か精一杯胸をはった。
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本当に言いたいこと、伝えたいことが
あれば、文章はおのずと光る。
魂で書かれた一冊だ。
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