覚悟に涙

「ちあきなおみ 沈黙の理由」

         古賀慎一郎

一気に読了。

ちあきなおみさんが引退してから

7年間マネージェーを務めた著書の

描く、彼女の物語。

一家を養うため4歳から米軍キャンプ内のクラブで

タップダンスを踊り、歌い続けてきた、ちあきなおみが

スターになり選んだのは、自分の歌を守り続けてくれた

夫であり、事務所の代表となった俳優、郷英治さんだった。

彼は日活のスターの座を捨て、ちあきなおみのために

裏方に徹した。

二人は固く結ばれていた。

ゆえに、夫が亡くなったとき、ちあきなおみは

後を追おうとした。

長い髪を切り、棺に束にして入れた。

「ごめんなさい、ごめんなさい」と泣きながらすがった。

以来彼女は表舞台から去った。

「私は郷さんのために歌っていたんです。だから、

もう歌うことはないし、幸せを感じることもない」

……すごい愛でした。

僕にとって日本で一番うまい歌手は、ちあきなおみです。

「朝日の当たる家」、「紅い花」、「ねぇあんた」

聞けば聞くほど、涙が出てくる、叙情の歌姫は、

女性としても、とても素敵な人でした。

さあ、CD聴こう。