黒人ヴァイオリニストが描いた小説 「バイオリン狂騒曲」

                 フレンダン・スロウカム

著者が現役のヴァイオリニストなので

音楽の描写はもちろん、コンテストの

様子などもリアリティがあり、一気読み。

主人公レイは、黒人のヴァイオリニスト。

子どもの頃からきちんと音楽教育を受けて

いない彼は、天賦の才能と必死の努力で

国際コンクールの優勝候補にまで上り詰めた。

しかし大会を目前に、ルイの楽器は盗まれる。

失くしたのは、名器ストラディヴァリウス。

なぜ貧しい家庭に育った彼がそんな楽器を

持っていたのか。

物語は、バイオリンを取り返そうと奔走する

ルイの姿を縦糸に、彼の愛器がたどった歴史や

いまも根強く残る黒人差別などの横糸を織り込んで

展開していく。

ミステリーであり、音楽小説であり、

黒人青年のサクセスストーリーの魅力も

併せ持った本作。

読後、クラシックが聞きたくなる一冊です。

バイオリン、テキストのグラフィックのようです

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1星野弓子