吉塚

2カ月に一度の割合で美容室に行っている。

20年以上前に吉塚で一人暮らしをしていたことがあり、
その時に通っていた美容室に今も通っているが、
20年もすれば、まちの景色も変わる。

当時住んでいたアパートの前にあったスーパーはディスカウントストアになり、
体の大きな大将がいた小さな飲み屋は、別の飲み屋になった。
新しいコンビニができ、マンションも増えた。

しかし、変わらないものもある。住んでいたアパートはまだあるし、
たまに通っていた定食屋も健在だ。髪を切った後は、その定食屋に行った。

カウンターだけの小さな店だ。お昼時だというのに、客は一人。
この店に3人以上入っているのを見たことがない。
店の雰囲気も、メニューも、料金も、店を切り盛りする夫婦も当時のまま。
カウンターの上に貼っているメニューの札が、
手書きから印刷に変わったくらいだ。

奥さんは足を少し引きづっているようだが、厨房でテキパキと動いている。
おやじさんは基本、厨房には入らずカウンターの端っこで
いつも何か作業をしている。
「あのおやじは、いつも競馬の予想をしている」
という噂を聞いたことがあるが、
手元にあったのが競馬新聞かどうかは不明だ。

注文したのは生姜焼定食。奥さんが手際よく調理し、数分で出てくる。
このスピードも魅力だ。
十分なボリュームの豚肉にキャベツ、もやしが一緒に炒められ、
お新香、酢の物、目玉焼き、味噌汁がついて550円。安い。

20年前もこうして一人夕食を済ませ、誰もいないアパートに帰っていたな…と思いにふける。

このまちにはもう一件、忘れられない店があるのだが、それはまたの機会に。

https://writing-pro.net/%E5%90%89%E5%A1%9A/
https%3A%2F%2Fwriting-pro.net%2F%25E5%2590%2589%25E5%25A1%259A%2F
https://writing-pro.net/吉塚/
Twitter→ 0