心に残る取材現場

会社経営やチームスポーツにおいて、
「人を育てる」ということは大きなテーマの一つだ。

育った人材は組織の戦力となり、次の世代を育ててくれる。

しかし、人を育てるのは難しい。
一人前にするまで時間が掛かる上、
社員を育てても、そのこと自体が評価されにくいからだ。
(営業実績が唯一の評価基準となっている会社も少なくない)

これまで多くの経営者を取材してきたが、
「人を育てる」ことに関して印象に残っているのが、
ジャパネットたかたの創業者・高田明社長(当時)だ。

取材を受ける時の高田社長は、
通販番組でおなじみの、あの甲高い声、テンポのよい喋りは影を潜め、
低い声でポツリ、ポツリと質問に答えていく。

その取材の場に、高田社長は新入社員数名を同席させた。
「勉強になると思って同席させています」

広報担当者や、製品・サービスの責任者が同席することは珍しくない。
しかし、新入社員を同席させたのは、
僕がこれまで出会ってきた経営者の中では、
後にも先にも高田社長だけである。

彼らは取材のやり取りを後ろで黙って聞いているだけだが、
トップの考えや経営戦略、ビジネスモデルなど、
勉強になったことは多いはずだ。

全てのインタビューが終わった後、
高田社長は一人ずつ感想を求め、その感想に対して、
自身の考えを一つ一つ述べていった。

僕はそこに、親が子にかける愛情のようなものを感じた。