先週は柔道の金メダルラッシュに、テレビにくぎ付けとなった。
日本の選手たちは表情を余り変えずに相手に向かっていく。
勝っても大はしゃぎをしたりしない。柔道に限ったことではないが、特に柔道はそうだ。
そのキリリとした表情がカッコいい。
「五輪の舞台を楽しみたい」と言う選手も最近は多いが、あれはマスコミ用のコメントだと僕は勝手に思っている。
五輪に出ることで満足という選手はともかく、金メダルを目指して生活の全てを賭けてきた選手は、とても楽しむような気持ちにはなれないはずだ。
そこまでして勝ち取った金メダル。ガッツポーズをし、大きな声で叫びたくなるのも当然だろう。
ただ、そんな気持ちをグッとこらえ、必要以上に騒がず、勝利の味をじっと噛みしめるように、心にしみ込ませるように、静かにその瞬間を迎える選手がいる。
特に永瀬貴規選手(81キロ級)の勝った瞬間の表情、そして敗者のサイード・モラエイ選手の腕を上げて健闘を称えるシーン。
勝負が終わった後は、自分と同じように、金メダルを目指して血のにじむような努力をしてきた相手にも敬意を払う。日本の柔道にはそんな精神が脈々と受け継がれている。
だから日本の柔道選手が金メダルを取った時の姿は、本当に美しい。