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取材現場では、興味深い話を聞く機会も多い。
しかし取材の本筋と離れたものは記事にはできないし、
文字数の関係で泣く泣く掲載を見送ったエピソードもある。
個人的に、ためになった話もある。
そうしたものを、ここで「取材余録」として紹介していきたい。
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4月に取材した中に、外国人向け情報誌「Fukuoka Now」の編集長であるニック・サーズさん、恵美子さん夫妻がいる。
僕が20年ほど前に地域経済誌で働いていた頃から二人のことは知っていたが、会うのは初めてだった。
コロナ禍の影響で昨年「Fukuoka Now」は休刊を余儀なくされたが、今年1月からライブストリーミング事業をスタートさせた。
街を歩きながら1時間ほどのライブ配信を行い、それをYouTubeチャンネル「Kyushu Live」にアップしている。
取材の中で恵美子さんは、「地方メディアは、まともにやればやるほど儲からない。だけど、メディア事業は自分たちの使命としてやっている」と言っていた。そのため、別の部分で収益を上げないといけない。
僕たちも自分たちでメディアを持って発信していることもあり、すごく共感でき、参考になる話だった。
「福岡はすばらしい街。この街の素晴らしさを多くの外国人に伝えたい」
そういう信念を持ち、ぶれることなく情報発信を続けるニックさん。
使命感というより、天職として仕事を楽しんでいるように感じる。
突き抜けている人だ。
自身も過去に会社を経営していた経験を持つ恵美子さんが、そんな少年のようなニックさんを支える。
経営者として、夫婦として。理想のパートナーだと感じた。
同じ地方メディアに携わる一人として、陰ながら応援していきたい。